研究会概要
アミノ酸分析の歴史は、誘導体化-液体クロマトグラフィーの歴史といえる。
アミノ酸の分析定量法は、このニンヒドリン反応とイオン交換クロマトグラフィーの原理を応用したやや古典的な方法のほか、最近では蛍光ラベル法と高速液体クロマトグラフィー法の組合せにより、ピコモル(10-12mol)オーダーの微量分析が可能になり、アミノ酸代謝異常症等の臨床診断に広く利用されるようになってきている。また、近年は、液体クロマトグラフィーと質量分析法を組み合わせ高感度で定性と定量分析を行っている例も多い。
このようにアミノ酸分析は歴史が古く、今更アミノ酸分析を目的とした研究会の発足は不要との意見もあるが、さまざまな天然アミノ酸や合成アミノ酸の存在やペプチド医薬や抗体医薬等のアミノ酸関連のものが多く、さらなる研究が望まれている。そこで、本研究会では、従来のアミノ酸に加えて、動植物由来の天然アミノ酸や各種の合成アミノ酸およびぺプチド類等も含めて広く分析対象とし、アミノ酸分析研究を発展させることを目的とします。
平成23年8月
発起人一同
会長挨拶
合田竜弥(第一三共株式会社・研究開発本部・薬物動態研究所)
2019年度より、新アミノ酸分析研究会の会長を拝命いたしました。どうぞ宜しくお願い致します。新アミノ酸分析研究会は、『アミノ酸』と『分析』をキーワードとして、2011年に設立され、今年で9年目を迎えます。初代会長の豊岡利正 先生(静岡県大)から、 宮野博 先生(味の素株式会社)、大江知行 先生(東北大学)、川原正博 先生(武蔵野大学)へと引き継がれてきましたが、常に『アミノ酸』と『分析』に関わる最先端のサイエンスを発信してきています。
特に、最近の創薬分野では、ペプチド及びタンパク質が新しい医薬品モダリティとして活用されています。その代表例が抗体医薬品で、その世界での売上高はすでにランキング上位を占めています。また、医薬品研究開発の効率を向上させることを目的として、疾患に関連するアミノ酸、ペプチド及びタンパク質を、バイオマーカーとして開発する研究も積極的に実施されています。
このように、アミノ酸を中心とする領域は、現在においても非常に魅力的な研究対象となっていますが、研究を適切に推進するためには、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質を正確に『分析』する技術が必要不可欠です。アミノ酸分析法は古くから開発されてきましたが、現在でも、カラムの開発、誘導体化試薬の開発、光学分割分析法の開発等、様々な面で検討が実施されています。また、ペプチド及びタンパク質の定量では、従来用いられてきたリガンド結合法に代わる手法としてLC/MS法が積極的に検討されています。
本研究会では、『アミノ酸』及び『分析』に関わる皆様に、研究分野の違いや、メーカーとユーザー、産官学等のあらゆる垣根を越えて、『自由な情報交換の場』、『研究ネットワークを広げる場』を提供したいと考えております。

学術講演会
新アミノ酸分析研究会第10回学術講演会(オンライン開催)
今年の学術講演会は、コロナ禍の影響によりご連絡が遅くなりましたが、オンラインで開催することに決定いたしました。オンライン開催のため従来のポスター発表は無くなりますが、一般口頭発表の枠は例年よりも多く確保しておりますので、奮ってご参加頂ければ幸いです。
(ただし、発表申込者多数の場合は研究室あたりの申込者数を制限させていただく可能性があります)。
詳細については順次HPにてご案内いたしますが、ご不明な点などございましたら、事務局(aaa2011@u-shizuoka-ken.ac.jp)までご連絡ください。
オンラインでの開催は初めての挑戦となりますが、少しでも皆様にとって有用な場となるように出来ればと思っております。多数のご参加をお待ちしております。
新アミノ酸分析研究会
会長 合田竜弥
主催:新アミノ酸分析研究会
期日:2020年11月30日(月)10時~17時45分 終了いたしました。多くのご参加ありがとうございました。
内容:依頼講演、一般口頭発表、Webinar Sponsored セミナー、協賛企業による新技術発表会
依頼講演
2. 武蔵野大学薬学部 川原正博先生「アミノ酸・ペプチドから認知症の薬を創る」
一般講演
学生・企業関係者による口頭発表(Zoomを利用したリアルタイム発表)。
参加費(予定):一般会員4,000円(会員、協賛学会会員、賛助会社社員)、学生2,000円(会員、非会員とも)、前記以外5,000円
協賛各社様のご厚意により本年は無料となります。
優秀発表賞
A-01 HPLC 分析を目的としたαーアミノ酸に選択的な新規誘導体化反応の開発
◯長坂東奈 1 、岸川直哉 1 、 Mahamoud H.El Maghrabey 1 、真木俊英 2 、黒田直敬 1(1 長崎大院医歯薬 、 2 長崎大学研究開発推進機構)
A-03 LC-FLを用いた37成分のD/Lアミノ酸分析の自動化検討と酒類への応用
◯岩田奈津紀、渡部悦幸、堀江真之介、早川禎宏(株式会社 島津製作所)
B-03 酵素法によるヒスチジン測定法の開発
◯山口浩輝、巽萌美、髙橋一敏、田上宇乃、中田國夫、杉木正之、水越利巳、宮野博(味の素株式会社)
A-05 D/L Cysteine の高感度キラル分離分析及び生体内硫化水素産生系に関する研究
◯東徹、杉山栄二、水野初、 豊岡利正、轟木堅一郎(静岡県大薬)
B-05 チロシン選択的な紫外線照射 化学発光分析法の開発とチロシン関連酵素活性測定への応用
◯坪上彩香、岸川直哉、 Mahmoud H. El Maghrabey 、黒田直敬(長崎大院医歯薬)
A-07 抗体医薬に対する高親和性 DNA アプタマーの効率的かつ汎用性の高い探索法とその結合能評価
◯青木萌恵、トンジャシイン、後藤厚子、杉山栄二、水野初、豊岡利正、轟木堅一郎(静岡県大薬)
賛助会員
新アミノ酸分析研究会賛助会員一覧(五十音順)
- 本研究会は以下の賛助会員様のご賛助を頂いております。
- 1. 味の素株式会社
- 2. アジレント・テクノロジー株式会社
- 3. 株式会社エービー・サイエックス
- 4. 株式会社LSIメディエンス
- 5. 株式会社クロマニックテクノロジーズ
- 6. 株式会社島津製作所
- 7. 株式会社新日本科学
- 8. 株式会社スクラム
- 9. 積水メディカル株式会社
- 10. 株式会社ダイセル
- 11. 株式会社東レリサーチセンター
- 12. 株式会社日立ハイテクサイエンス
- 13. 株式会社ワイエムシィ
- 14. サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
- 15. 信和化工株式会社
- 16. 第一三共株式会社
- 17. 富士フィルム和光純薬工業株式会社
- 18. ブルカージャパン株式会社
- 19. メルク株式会社
- 20. 渡辺化学工業株式会社
過去の学術講演会
第9回学術講演会
会期:2019年12月16日(月)10:00~18:00
会場:大田区産業プラザPio(東京都大田区南蒲田1-20-20)
依頼講演
1. 株式会社ちとせ研究所 笠原 堅 先生:「コンボリューショナルデータを活用したバイオ生産マネジメントシステム」
2. シスメックス株式会社 中央研究所 吉田 智一 先生:「新たな診断価値創出に向けて」
口頭発表6件、ポスター発表21件
優秀発表賞
O-01 生理的pH条件下での生体アミノ酸と金属イオン間相互作用の迅速スクリーニングと特性解析
○守岩 友紀子1、岩畑 大悟2、中山 聡2、柳田 顕郎1 (1東京薬科大学薬学部、2味の素株式会社)
P-03 汎用性と成功率に優れたアプタマー探索法の開発
○トン ジャシイン、後藤 厚子、杉山 栄二、水野 初、豊岡 利正、轟木 堅一郎
(静岡県大院薬)
P-10 ジアステレオマー誘導体化-GC/MS法における前処理過程でのエピメリ化の影響評価
○小林 愛華、青木 元秀、内田 達也、熊田 英峰、梅村 知也(東京薬科大学大学院 生命分析化学研究室)
P-16 トリプトファン代謝物一斉分析法の開発
◯西本 瑠美、唐川 幸聖、原田 真志、嵐田 直子、中山 聡
第9回学術講演会プログラム
第8回学術講演会
会期:2018年12月17日(月)10:00~18:00
会場:大田区産業プラザPio(東京都大田区南蒲田1-20-20)
依頼講演
1. 昭和薬大・講師 阿南 弥寿美 先生:「自然界に存在する金属含有アミノ酸」
2. 日立ハイテクサイエンス 伊藤 正人 先生:「ポストカラム ニンヒドリン法イオン交換クロマトグラフィーの歴史」
3. 慶應大医・講師 笹部 潤平 先生:「D-アミノ酸に着目した医学の新展開」
4. 帝京大薬・元教授 中込 和哉 先生:「医薬品成分や生体内物質の分離分析」
口頭発表4件、ポスター発表21件
優秀発表賞
P-01 トリプトファン酸化酵素を用いたトリプトファン分析
○山口浩輝1、巽萌美1、髙橋一敏1、田上宇乃1、杉木正之1、柏木立己1、亀谷将史2,3,4,5、岡崎誠司2,3、水越利巳1、宮野博1、浅野泰久2,3 (1味の素株式会社、2富山県立大・生工研セ、3JST, ERATO、4東大・応生工、5東大・微生物連携機構)
P-02 オンチップ分離-誘導体化-検出を可能にするマイクロ化学分析チップの開発
○磯川宗生1,2、中西完貴3、金森貴宏1、尹棟鉉3、中山聡2、関口哲志3、船津高志3、庄子習一3、角田誠1(1東大院薬、2味の素株式会社、3早大理工)
P-10 誘導体化LC -MS/MSを用いたチオール含有チオール含有アミノ酸の光学異性・酸化状態分別析法の開発
◯東 徹、高山卓大、水野 初、豊岡利正、轟木堅一郎(静岡県大薬)
P-12 抗イディオタイプDNA アプタマー用いた抗体医薬PertuzumabおよびRituximabに対する多検体血中薬物濃度同時分析法の開発
○山田朋宏1、斎藤太郎2、清水 裕2、水野 初1、塚越かおり2、豊岡利正1、池袋一典2、轟木堅一郎1(1静岡県大院薬、2東京農工大院工)
第8回学術講演会プログラム
第7回学術講演会
会期:2017年12月4日(月)10:00~18:00
会場:大田区産業プラザPio(東京都大田区南蒲田1-20-20)
依頼講演
1. 東大・生産技術研・教授 竹内 昌治 先生:「マイクロ流体デバイス技術が拓く異分野融合研究」
2. SBIファーマ株式会社・代表取締役 田中 徹 先生:「生命の根源物質 5-アミノレブリン酸」
3. 九大生体防御医学研・准教授 松本雅記 先生:「IMPAQT:組み換えタンパク質を用いたタンパク質絶対定量プラットフォーム」
口頭発表10件、ポスター発表21件
優秀発表賞
P-03* D,L-アミノ酸の高速・高感度一斉分析を実現する新規軸不斉キラル誘導体化試薬開発
○原田真志、唐川幸聖、新保和高、山田尚之、宮野 博(味の素株式会社)
P-06* 重回帰予測に基づく誘導体化LC-MS/MS-DL-アミノ酸一斉分析法の効率的開発
〇栁澤拓摩1、高山卓大1,2、水野 初1、豊岡利正1、轟木堅一郎1
(1静岡県立大薬、2日本学術振興会)
P-19* LC-TOFMSを用いたアミノ酸鏡像体を含むアミン類の高速一斉分析法の開発と発酵食品への応用
〇谷口百優、紺屋 豊、中野洋介、福崎英一郎(大阪大院工)
O-02* 5‐アミノレブリン酸及びALAS活性の簡便,高感度,高精度な誘導体化LC-MS/MS分析法の開発
◯工藤悠翔1,福土 南1,水野 初1,野澤菜緒子2,太田 麗2,石塚昌宏2,豊岡利正1,轟木堅一郎1(1静岡県大薬, 2 SBIファーマ株式会社)
第7回学術講演会プログラム
第6回学術講演会
会期:2016年11月4日(金)9:00~18:00
会場:東京大学武田先端知ビル(東京都文京区本郷7-3-1)
依頼講演
1. 静岡県大・薬・教授・豊岡利正先生:「誘導体化法を基盤とするバイオアナリシス研究」
2. 東北大・研究推進部・教授・山谷知行先生:「イネの生産性を制御する窒素代謝の分子基盤」
パネルディスカッション「アミノ酸の DL 分析」
口頭発表11件、ポスター発表27件
第6回学術講演会プログラム
第5回学術講演会
会期:2015年12月7日(月)9:40~17:40
会場:東京大学武田先端知ビル(東京都文京区本郷7-3-1)
依頼講演
1. 大阪大学産業科学研究所 谷口正輝先生:「1分子ペプチドシークエンサー」
2. 東北大学大学院理学研究科 掛川 武 先生:「初期地球のダイナミクスが作ったアミノ酸、核酸塩基、そして生命」
3. 筑波大学数理物質系 白木賢太郎 先生:「アルギニン溶液のバイオテクノロジー」
口頭発表9件、ポスター発表18件
第5回学術講演会プログラム
第4回学術講演会
会期:2014年11月17日(月)9:25~17:40
会場:東京大学武田先端知ビル(東京都文京区本郷7-3-1)
依頼講演
1. 久留米大学がんワクチンセンター 伊東恭悟先生:「ペプチドワクチン開発の最近の進歩」
2. 鈴鹿医療科学大学薬学部 定金 豊 先生:「神経疾患に関わるペプチド中のアミノ酸残基の構造的変化と生理活性への影響」
3. 東北大学大学院薬学研究科 大江知行 先生:「アミノ酸の修飾解析を通したバイオマーカー研究」
口頭発表11件、ポスター発表16件
第4回学術講演会プログラム
第3回学術講演会
会期:2013年12月2日(月)9:00~17:00
会場:東京大学薬学部講堂(東京都文京区本郷7-3-1)
依頼講演
1. 関西大学 老川 典夫 先生:「日本酒中のD-アミノ酸の定量的解析に基づく生成機構及び呈味機能の解明とD-アミノ酸に着目した新商品開発への展望」
2. 産業技術総合研究所 夏目 徹 先生:「定量プロテオミクスから展開する分子プロファイリング」
3. 新潟大学 門脇 基二 先生:「オートファジー調節をめぐるアミノ酸シグナリングの多様性」
口頭発表12件、ポスター発表16件
第3回学術講演会プログラム
第2回学術講演会
会期:2012年10月26日(金)9:00~18:00
会場:東京大学薬学部講堂(東京都文京区本郷7-3-1)
依頼講演
1. 東大院理 菅 裕明 先生:「非古典的ペプチド創薬、特殊ペプチド翻訳合成基盤技術と創薬展開」
2. 理研 バイオ解析チーム 堂前 直 先生:「プロテオーム解析の基盤をなすアミノ酸分析」
3. 九大院農 松井 利郎 先生:「ペプチドによる生活習慣病予防‐特に,高血圧,血管系疾患予防作用について‐」
口頭発表12件、ポスター発表15件
第2回学術講演会プログラム
第1回学術講演会(キックオフシンポジウム)
会期:2011年12月9日(金)14:00~17:30
会場:島津製作所東京支社 イベントホール
基調講演
国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部部長 川崎 ナナ 先生:質量分析とバイオ医薬品の品質管理
依頼講演
1. 九州大学大学院薬学研究院 濱瀬 健司 先生:「アミノ酸分析のニューフロンティア -キラルアミノ酸メタボロミクスの可能性-」
2. 味の素株式会社イノベーション研究所 山田 尚之 先生:「栄養飢餓に関するアミノ酸の生理機能研究における分析化学の役割」
3. 大阪大学大学院医学系研究科 金井 好克 先生:「アミノ酸誘導体によるトランスポーターを標的とした癌のPET診断と癌抑制薬」
